「みんなで楽しく歌って、心が温かくなり笑顔が溢れるお店にしていきたい」
■斎藤店長(中央)とベイビーブーのメンバー
今から68年前となる1954年、新宿の地に誕生し当時の若者を中心にムーブメントを起こした歌声喫茶「ともしび」は、コロナ禍となった2020年、多くの歌声ファンに惜しまれながら新宿の店舗を閉店しました。
2年間の休業を経て、新たな出発の地となった高田馬場の新店舗にて22日から営業を再開した「ともしび」の斎藤隆店長にお話を伺いました。
●いよいよ11月22日より「ともしび」が営業再開しました。まずは率直なお気持ちをお願いします
新宿店を閉めてから2年。多くの方々のご支援と厚い応援をいただき、コロナ禍を乗り越えて、ここまでくることができました。そんな皆様へ感謝の気持をまず示したいです。
再開できた時のためにと、この2年間で様々な準備をしてきました。やっとそれらを発揮できる時が来ました。嬉しいと同時に、とても緊張感が高まっています。
●1954年に新宿にて営業を開始した「歌声喫茶ともしび」ですが、コロナ禍となった2020年9月に新宿での営業を休止し新宿のお店を閉店いたしました。その時の思いは?
本当にたくさんの先輩方が築き上げてきた「ともしび」の歴史を、まさかこんなことで閉じざるを得なくなることにとても重い責任を感じていました。それでも「ともしび」を存続させるためには『今は閉めるしか無い』と話し合いました。存続させるためのとても重い決断でしたが、先の見えない不安な気持ちでいっぱいでした。
■最後の新宿店営業の日に駆け付けたベイビーブー(2020年9月)
ベイビーブーが「ともしび」のために贈った「みんなのメロディー」
●「青春は密」という言葉が流行語大賞にもノミネートされていますが、「コーラス・合唱」はまさに密であり、歌声喫茶の醍醐味である「歌い合う」ということは飛沫の問題もありコロナ禍では非常に苦しい環境に追い込まれたと思います。
たかが「みんなで一緒に歌う」だけの店。それでも、歌い合うことで心をつなぎ、人生を豊かに生きて、歌声喫茶がかけがえのない場所と思ってくださる方がたくさんいることをあらためて感じました。それが、2年間で5000万円を超えた「支援募金」の額に現れていると重く感じています。
ちょうど新宿店を閉めるという苦渋の決断をした頃、「ともしび」で長年歌ってくれていたベイビーブーの皆さんが『みんなのメロディー』という曲を作りYouTubeで公開してくれました。ベイビーブーの皆さんは、9年間毎月欠かさずに「ともしび」でマンスリーライブを行って、お客様と交流しながらファンを増やしてきました。「ともしび」のことをこんなふうに感じてくれていたのだと心が熱くなりました。そして、この歌にたくさんの方が共感してくれました。この曲のおかげで「待っていてくれる人たちがいる限りこの店を続けていかないと!」と強く思うことができました。
●斎藤店長は「ともしび」の何代目の店長になりますか?いつから店長になりましたか?
前の新宿3丁目の店は38年でしたが、その歴史の中では5代目くらいだと思います。店長になったのは2009年です。
●斎藤店長にとって「新宿店」での思い出はございますか?
新宿の「ともしび」には多くの芸能人の方や歌い手の方が歌いにきてくれましたが、ベイビーブーの皆さんのように、ホームグランドとしてお互いに良い関係で繋がっている方はいません。彼らが初めて店に来た日から早いものでもう10年です!初めてベイビーブーのメンバーが来店した時、スタッフが「ともしびのお客様ではない」(若い団体客)と勘違いして追い返そうとしたという逸話があります(笑)
ボニージャックスの故・西脇久雄さんは昔からのお客さまでした。いつもビールを美味しそうに飲んで、他のお客様と交流されたり、気分が乗ってくると「モスクワ郊外の夕べ」などを歌ってくださいました。今でこそ師弟関係となったボニージャックスとベイビーブーは「ともしび」で出会うべくして巡り合ったのだと思います。ある日、ベイビーブーのマンスリーライブに偶然西脇さんがいらして、目を輝かせて聞いていたのを覚えています。
ベイビーブーのおかげで、「ともしび」には若いお客様が増えましたし、そのつながりで集う若者が中心となり、現在若者だけのサークル「ぱれっと」が出来ました。 その若者たちが新店舗の準備で大活躍をしてくれました。最近その中から2人従業員になってくれました。
■新店舗での営業再開に合わせ「歌集」がリニューアルされた
●歴史や思い出がたくさんあった「新宿」を離れ、いよいよ「高田馬場」の新店舗にて営業を開始いたしました。場所選びから始まり店舗の内装工事など、振り返れば長いようであっという間の時間だったと思います。まだまだ感染対策を徹底しての営業となりますが、また「みんなで歌い合える」ということが出来ることに対していかがでしょうか?
コロナ禍となり、人間同士のリアルな触れ合いや交流が避けなければならないこととなったことで、逆にそのことの価値がとても大切なことだと痛感できました。お互いの顔を見合わせて心を通わせて歌い合う「歌声喫茶」は、世代を超えて楽しめる場所なのだと思います。アフターコロナでは、そんな「ともしび」という場所の価値が上がり再評価されるのではと思っています。
今回の再出発に合わせ、若い世代が知っている曲を約90曲ほど増やした新しい歌集を作りました。約10年ぶりとなる歌集の改訂です。ベイビーブーの皆さんがプレゼントしてくれた『みんなのメロディー』を、「新生ともしび」のテーマソングとして第1曲目にしました。この歌の中に歌声喫茶の醍醐味が込められています。これからもずっと皆さんと歌っていきたいです。
■「みんなのメロディー」は各音楽配信サービスで配信中です
●営業再開を待ち望んでいたお客様へのメッセージをお願いします
ほんとに長らくお待たせしました!コロナ禍の2年間、たくさんの皆様から厚い応援やご支援をいただき、本当にありがとうございました。皆さんのご支援のおかげで、高田馬場に新しいお店を出すことができました。今度は皆さんに思いっきり歌って楽しんでいただきたいです。みんなで楽しく歌って、心が温かくなり笑顔が溢れるようなお店にしていきたいと思います。これからも末長くよろしくお願いいたします!
ありがとうございました
■営業再開となった11月22日に駆け付けたベイビーブーのケンとユウ
■「ともしび」再出発への思いを聞いたベイビーブーのインタビューも合わせてお読みください
■歌声喫茶「ともしび」ホームページ
現在、感染対策を行い営業中。来店の際には事前予約が必要です(こちらから)
#おとなのおと #ベイビーブー
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